応用美術
ご相談例
当社は和装の日本人形を製造し、30年来、百貨店や自社店舗内で販売しているのですが、このほどインターネットで当社が販売している日本人形と形色大きさはもとより、着ている和服図の図柄まで酷似している日本人形が無断で販売しているのを発見しました。当社としては違法な模造品の販売の停止と損害賠償を求めたいのですが、可能でしょうか。
松本の解説
可能です。いわゆる応用美術に関する問題です。応用技術に関しては、かつては応用美術が著作権法の保護する著作物に該当する可能性を認めつつ、結果物である創作物が純粋美術と同視しうる高度の美的表現と認められなければ、著作物性を否定する傾向がありました。しかし、近時においてはもう少し柔軟に考える傾向にあります。設問のケースでは、量産品ではあるものの鑑賞の対象であって、実用目的を有しないものは著作物と保護されるものと考えられます。
過去の判例①
量産を予定した、「赤とんぼ」という題名の博多人形の著作物性を肯定した。
(博多人形事件) 「赤とんぼ」という題名の博多人形の著作物性が問題となった事案において、裁判所は、「本件人形は、・・・その姿体、表情、着衣の絵柄、色彩から観察してこれに感情の創作的表現を認めることができ、美術工芸的価値としての美術性も備わっているものと考えられる。また、美術的作品が、量産されて産業上利用されることを目的として制作され、現に量産されたということのみを理由としてその著作物性を否定すべきいわれはない」と判示し、著作物を肯定しています(長崎地裁佐世保支部昭48・2・7無体集5-1-18)。
弁護士コメント
この裁判例のケースの博多人形のような、量産されるものではあっても、ものの形状が実用に供されるものではなく、鑑賞の対象となるものの場合、いわゆる著作権法の規定する「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)に該当するものと考えられ、そうである以上著作物性を肯定されるのが自然な考えのように思われる。美術の著作物としての原作品があり、その複製物が大量に生産される、例えばミッキーマウスのぬいぐるみの場合であっても、当初から複数個作成される博多人形やひな人形の場合も別異に扱わなければならない理由はないとの指摘もある(高林龍「著作権法」44頁)。
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